2012.08.03,Fri
最近ノイタミナでやってる夏雪ランデブーが気になっています。
あれ三つ巴でやったら面白そうだよなーとかニヨニヨしながら見てます。
というわけでやっちゃったパロ。つづきを読むからどうぞ。
※オラトリオが幽霊です
※あまり細かいことは考えてはいけません
あれ三つ巴でやったら面白そうだよなーとかニヨニヨしながら見てます。
というわけでやっちゃったパロ。つづきを読むからどうぞ。
※オラトリオが幽霊です
※あまり細かいことは考えてはいけません
昼前になって、オラクルは光の当たるリビングの床から身体を起こした。昨日は珍しく痛飲してしまって、周りには酒の瓶や缶が転がっている。頭痛と眩暈がするが、酒には滅法強い体質なのでアルコールのせいとは考えにくい。
「あー……風邪かな」
声を出すと喉が痛んだので、ふらふらとした足取りでキッチンまで行き、冷蔵庫から栄養ドリンクを出して呷った。
『馬鹿、あんなところで寝るからだろうが。今日はおとなしくしてろよ』
背後に立つオラトリオの声は、オラクルには聞こえていない。声が聞こえていないどころか、姿さえ見えない。
アストラル体だの幽体だの、呼び方は色々あるが、今のオラトリオは平たく言ってしまえば幽霊だ。しかも、自縛霊。
オラトリオが死んだのはもう5年も前になる。交通事故だった。その頃はちょうどオラクルと付き合って7年の記念日に、待ち合わせに遅れそうになって慌てていたところを信号無視の車にはねられ、死んだ。
で、気づけばそれ以来オラトリオはオラクルの部屋に自縛霊として住んでいる。
オラクルはふらつきつつも、リビングの棚の上の薬箱を出してきて風邪薬を探し始めた。だが、見当たらない。
『だから風邪薬はこないだ切らしてたつってただろ』
こんなときオラトリオは我が身を呪う。人と話もできないし、ものに触れることもできない上、オラクルの部屋から出られない。
オラクルはしばらくぼうっとしていたが、携帯を出すとメールを打ちはじめた。喋るのが辛いのだろう。画面を覗きこむと、相手はカルマらしい。コードだと大ごとになってしまうと考えたに違いない。だが、ふらつく指先で「風邪薬買ってきて」と打ち終わる前にメールの送信ボタンを押してしまう。そして、床に倒れ込んだ。
『おい、オラクル! オラクル!?』
肩をゆする手がすり抜けてしまう。オラトリオは舌打ちしてベランダの方へふわりと飛び出した。今日は確かクオータが仕事の打ち合わせに来る日だ。
早く来い、と念じながら道に人影を探していると、やがてスーツの上着を脱いでこちらへ走ってくるクオータが見えた。
『おい、クオータ! 早く来い! オラクルが倒れてる!』
オラトリオはクオータを見つけると構わず大声で呼んだ。どうせ誰にも聞こえない――クオータ以外には誰にも。
その声を聞きつけたクオータは顔を上げてオラトリオを見た。今のところクオータはオラトリオの姿が見える唯一の人間だ。クオータは階段を駆け上がり、合鍵で玄関を開けると、オラトリオを追ってリビングに飛び込んだ。
「オラクル!? 大丈夫ですか」
慌てて抱き起こし、額に触れるとひどく熱い。クオータはオラクルを抱え上げると寝室へと運び、ベッドに寝かせた。意識が朦朧としているのか、まともな反応がない。
『風邪だ。さっき栄養ドリンク飲んでた。風邪薬がない。
……てめぇは来るのが早かったな』
「ここに来る途中、カルマから、オラクルから変なメールが届いたと電話があったので嫌な予感がしまして」
睨みつける視線を受け流し、再度クオータがオラクルの額に手をやると、オラクルがうわ言のように何か言いだした。
「ごめん……オラトリオ……」
クオータはそっと手を引き、ベッドの枕元にある写真に目を移した。今よりいくらか若いオラクルと、今も変わらないオラトリオの写真がある。
それを一瞥すると、クオータは玄関へ向かい、靴を履きはじめた。
「風邪薬とか、買ってきますね」
クオータが出ていってしまうと、オラトリオはオラクルの寝るベッドの傍に立った。汗で額に張り付く前髪を払ってやれないのがもどかしい。それでも頭のあたりを撫でてやりながらオラトリオは囁くように言った。
「俺、まだお前のこと縛りつけてるな。でも、渡したくないんだ、誰にも」
誰にも聞きとれない祈りは、寝室のカーテンの揺らぎにかき消されそうだった。
「あー……風邪かな」
声を出すと喉が痛んだので、ふらふらとした足取りでキッチンまで行き、冷蔵庫から栄養ドリンクを出して呷った。
『馬鹿、あんなところで寝るからだろうが。今日はおとなしくしてろよ』
背後に立つオラトリオの声は、オラクルには聞こえていない。声が聞こえていないどころか、姿さえ見えない。
アストラル体だの幽体だの、呼び方は色々あるが、今のオラトリオは平たく言ってしまえば幽霊だ。しかも、自縛霊。
オラトリオが死んだのはもう5年も前になる。交通事故だった。その頃はちょうどオラクルと付き合って7年の記念日に、待ち合わせに遅れそうになって慌てていたところを信号無視の車にはねられ、死んだ。
で、気づけばそれ以来オラトリオはオラクルの部屋に自縛霊として住んでいる。
オラクルはふらつきつつも、リビングの棚の上の薬箱を出してきて風邪薬を探し始めた。だが、見当たらない。
『だから風邪薬はこないだ切らしてたつってただろ』
こんなときオラトリオは我が身を呪う。人と話もできないし、ものに触れることもできない上、オラクルの部屋から出られない。
オラクルはしばらくぼうっとしていたが、携帯を出すとメールを打ちはじめた。喋るのが辛いのだろう。画面を覗きこむと、相手はカルマらしい。コードだと大ごとになってしまうと考えたに違いない。だが、ふらつく指先で「風邪薬買ってきて」と打ち終わる前にメールの送信ボタンを押してしまう。そして、床に倒れ込んだ。
『おい、オラクル! オラクル!?』
肩をゆする手がすり抜けてしまう。オラトリオは舌打ちしてベランダの方へふわりと飛び出した。今日は確かクオータが仕事の打ち合わせに来る日だ。
早く来い、と念じながら道に人影を探していると、やがてスーツの上着を脱いでこちらへ走ってくるクオータが見えた。
『おい、クオータ! 早く来い! オラクルが倒れてる!』
オラトリオはクオータを見つけると構わず大声で呼んだ。どうせ誰にも聞こえない――クオータ以外には誰にも。
その声を聞きつけたクオータは顔を上げてオラトリオを見た。今のところクオータはオラトリオの姿が見える唯一の人間だ。クオータは階段を駆け上がり、合鍵で玄関を開けると、オラトリオを追ってリビングに飛び込んだ。
「オラクル!? 大丈夫ですか」
慌てて抱き起こし、額に触れるとひどく熱い。クオータはオラクルを抱え上げると寝室へと運び、ベッドに寝かせた。意識が朦朧としているのか、まともな反応がない。
『風邪だ。さっき栄養ドリンク飲んでた。風邪薬がない。
……てめぇは来るのが早かったな』
「ここに来る途中、カルマから、オラクルから変なメールが届いたと電話があったので嫌な予感がしまして」
睨みつける視線を受け流し、再度クオータがオラクルの額に手をやると、オラクルがうわ言のように何か言いだした。
「ごめん……オラトリオ……」
クオータはそっと手を引き、ベッドの枕元にある写真に目を移した。今よりいくらか若いオラクルと、今も変わらないオラトリオの写真がある。
それを一瞥すると、クオータは玄関へ向かい、靴を履きはじめた。
「風邪薬とか、買ってきますね」
クオータが出ていってしまうと、オラトリオはオラクルの寝るベッドの傍に立った。汗で額に張り付く前髪を払ってやれないのがもどかしい。それでも頭のあたりを撫でてやりながらオラトリオは囁くように言った。
「俺、まだお前のこと縛りつけてるな。でも、渡したくないんだ、誰にも」
誰にも聞きとれない祈りは、寝室のカーテンの揺らぎにかき消されそうだった。
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